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約束の場所から約束の場所へ

deseominikominami
昨日は、友人の小南千明が、初のワンマンライブを開催するということで、開いたパソコンをそのままに彼女の姿を観に行ってきた。

彼女と出会ったのは、どれくらい前だろうか。岡崎体育的に言うなら「思い出せないけどきっと思い出す必要なんてない」といったところだろう。

これまでも彼女のステージを幾度と観てきた。最初の頃は彼女目当てのお客さんなんてどれほどいただろうか?おそらく本当に僕の両手の指を使っても余るくらいだったような気がする。

そこから、少しずつお客さんも増えてきて、決して大きなステージではないが、昨日は見事にソールドアウトし、箱は彼女目当てのお客さんでごった返していた。

スタンディングしかない小さな箱だったが、関係者エリアの仕切りはあれど、そんなのもはや関係ないくらいに押し寄せる無数の観客。彼女は、ステージに立った瞬間何を思っただろう。

以前、お酒の席で彼女がなぜステージに立ち続けたいかという話を聞いた。

それは今回のライブでも彼女の口から語られていたが、彼女はかつて幼少期に立った、さいたまスーパーアリーナのステージを、もう一度、今度は自分のステージとして立ちたいと熱心に語った。

僕は、ほんの少しお酒も入って気が大きくなってたんだろう。その時に「その前にまずはワンマンだね」と彼女に少し偉そうに語っていた。ワンマンライブすらまだ先のことのように思えた彼女に僕は「初ワンマンをするときは、花を贈るよ」と、赤ワインで酔っ払いながら言った。

時が経ち、先日彼女から「ワンマンライブやります!来てください!」と言われた時、ふと僕はその時の約束を思い出した。そして、花を贈った。

きっと彼女は、僕のそんな些細な約束なんて覚えていないだろう。そりゃそうだ、僕すら覚えていたか怪しいものだ。だけど、彼女はしっかりと、彼女の中にいる“小さな小南千明”との約束に向け、一歩ずつ前に進んでいっている。だから、僕も小さな約束を果たすことにした。

仕事では締め切りを遅れて迷惑をかけたり、覚えておくよって言ってたことを平気で忘れたり、人間は忘却の生きものだ。果たせぬ約束を、いくつも契ってきた気がする。

だけど、少しずつでも彼女は約束に向かって前身している。そんな夢の道端に、そっと花を添えさせてもらえたことは、とてもありがたい。

これまでは、彼女の中の小さな自分との約束だった夢の場所は、昨日涙ながらに語った瞬間から、みんなの約束になった。

もしかしたら叶わないかもしれない。もしかしたらあっという間に叶ってしまうかもしれない。
約束は、ただ果たすためだけにあるものじゃない。僕らは、いくつも約束を重ね、見えない糸を確認しあってる。

彼女の音楽が、僕らをつなぐ糸となって、紡がれていけば、大きな風呂敷を編むことも夢じゃないかもしれない。また挫けそうになったら、美味しい肉と、わずかばかりの酒で語り合おう。

僕もまだまだ旅の途中。